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福本鉄平

アニメーション専攻4年

 

研究内容:ガンアクション

アニメ作品、実写映画に登場するガンアクションシーン

について研究しました。

 

・好きなアニメ:機動警察パトレイバー、ヨルムンガンド、頭文字D

・好きなアーティスト:茶太、森口博子、星野源

・買ってよかった参考書、画集:

「吉成曜画集 ラクガキ編(吉成曜)」

「スカルプターのための美術解剖学(アルディス・ザリンス/サンディス・コンドラッツ著)」

「Vision ヴィジョン ーストーリーを伝える:色、光、構図(ハンス・P・バッハー著)」​

アニメで「銃」を描くためには?

 

映像作品において、銃という小道具はアクションシーンを引き立てる重要なアイテムだ。だが、それと同時に銃は表現することが難しいモチーフでもある。
今回は、アニメ作品や実写映画などを多角的に調べていった中で気付いた、ガンアクションを演出するために必要な 3 つの要素について論述していく。
 

・アイテムの描写性
まず前提として、作画で情報量の多い構造物を描写するには限度がある。ましてや、その情報過多な物体を人物が取り扱う演技を描くのであれば尚更の事だろう。
よって、アニメーションでは構造物を描写するには「絵の描き込み」「情報量のコントロール」が重要なポイントとなる。
このロジックを日本のテレビアニメに登場するガンアクションシーンにも当てはめてみると、カメラワークや画面比率などを巧みに利用していることが分かった。
例えば、「砂ぼうず」(註 1)「UNDER THE DOG」(註 2)の演出を例に挙げてみる。
この 2 つの映像では、ロングショット~ミディアムショットで全体的な人物の芝居を映しつつ、銃の動作機構にクローズアップしたカットを挟むことで作画のバランスを保っていることが見て取れる。
他にも、「ヨルムンガンド」(註 3)に登場する狙撃シーンでは、人物自体がほぼ動かず、カメラワーク主体の動きと照準器越しの画で映像が作られているということが分かる。
狙撃銃のように依託射撃で運用することが前提で、尚且つ全長の長い銃をフレーム内に収めたい場合は、画面を振ったりパースを圧縮する必要があるためである。
 

・キャラクターの芝居
人物の芝居も、演出力を高める上で欠かせない要素だ。
道具そのものだけではなく、それを扱う人物の動作を丁寧に描くことで、動きに説得力を与えることができるためである。
これは、先述した"アイテムの描写性"と深く連動する部分でもある。
ガンアクションにおいては、銃の操作や戦術、格闘術がそれらの要素にあたるだろう。
特に今回調べた中で興味深かったのは、実際の戦闘技術や格闘技がアクション映画に流入し、その芝居が間接的に日本のアニメ作品にも影響を与えるケースがあるということ。
例えば映画「ジョン・ウィック(2014 年)」。“ガンフー”というアクションジャンルを確立したこの映画は後年の他作品に多大な影響を与えており、「BNA ビー・エヌ・エー(2020)」(註 4)ではその所作がアニメーションに落とし込まれていた。

 

・音響演出
次に、視覚と聴覚の相互補完を行えば、より描写力を高められるということを説きたい。
仮に銃を扱う場面をアニメーションで描写する場合、たとえ画面外で行われる動きがあったとしても、音を加えれば不足している情報を補うことが出来るということだ。
装填する音、薬莢が落ちる音、弾丸が通過した際に鳴る鋭い音(衝撃波)、跳弾する音など、銃には視覚的に説明できない要素が多々ある。
また更に、発砲音もシチュエーション(屋外であるか屋内であるか、消音器を装着しているか否か、または実包の装薬量や種類)によって聞こえ方が変わってくるため、とにかく細かく観察することが必要となる。
要するに、銃の操作音など(音響効果)を追加することで、作画だけでは表現しきれないマテリアル感や状況説明を与えることが可能なのである。
 

・総括
アニメーションで銃というアイテムを表現するには?
・アイテムの描写性→動作機構を正しく描くこと。「絵の描き込み」「情報量のコントロール」が重要。
・キャラクターの芝居→銃というのは役者がいる上で成立する小道具。動きの観察が大事。
・音響演出→視覚と聴覚の相互補完で作画できない部分をカバー。

 

以上のことが分かったポイントである。

註 1:TV アニメ「砂ぼうず(2004 年)」第 1 話より、砂ぼうずと盗賊の銃撃戦を参照。
註 2:OVA「UNDER THE DOG(2015 年)」終盤より、冬月ハナと米陸軍特殊部隊による銃撃戦を参照。

註 3:TV アニメ「ヨルムンガンド(2012 年)」第 4 話から、ルツ・ワイリによる長距離狙撃のシーン。

註 4:TV アニメ「BNA ビー・エヌ・エー(2020)」第 1 話の大神士郎と反獣人派テロリストの戦闘シーン、第 3 話の大神士郎がディスアームするシーンなど。